2015年4月~2016年1月まで、アメリカ・ニュージャージー州に滞在し現地の野球環境でコーチの勉強をしてきました。そこで感じた日本との違いなどをまとめたいと思います。ぜひ色んな方に読んで欲しいです。
きっかけ
大学まで札幌で暮らしました。
野球は小学4年生の時に地元にチームができて入団し、
中学は部活で軟式
高校は公立高校で硬式
大学も硬式の野球部でプレーしました。
大学4年生の時に自分の指導教官に呼び出され唐突に
「おまえ、アメリカに行かないか?」と言われる(笑)
指導教官のお知り合い(日本人)がアメリカで野球の指導をしており、手伝える人を探しているということでした。
なかなかないチャンスだと思い、飛びこんで行ってきました!
現地の野球について
・年齢別にチームを組む
アメリカでは年齢別にチームを組んでいました。私のいたところは9U・11U・13U・15U・17Uのチームを作っていました。各年齢12,3人でチームを回します。上手い子は上の年代に混ざってプレーします。サッカーをイメージしてくれればいいと思います。
・試合が多い
土日はもちろん試合なのですが、平日の夜でも子どもたちは試合をやっていました。年齢別のチームなので、みんな出場機会が多いです。トーナメントもありますが、リーグ戦がほとんどなので負けても試合がまたあります。日本では「メンタルが弱い」と言われる選手がよくいますが、試合慣れもあるのかなと感じました。これだけ毎週試合にでていれば、試合慣れもして、試合で力を発揮するメンタルもできてくるのかなと。車で1時間くらいの遠征もあるので、試合をこなす体力もそこで培われます。
・全体練習は週1回1時間
僕の行かせてもらったチームは、全体練習は週1回1時間のみでした。内容は、ゲッツー・中継プレーやフライの際の声かけなど、集団でしたできないことに絞って行っていました。グダグダと何本もノックを続けて打つようなことはしていませんでした。フィールディングは個別でもできるので、ノックの数は最小限にしていました。
・個別練習
向こうでは、個別練習が盛んに行われていました。2m✖6mくらいの広さに区切られたレーンがいくつもある室内練習場で、ピッチング・バッティングフィールディングをコーチと1対1や1対2くらいの少人数でレッスンを行います。スキルを高めて、上のレベルでプレーしていきたい子はこのレッスンを週に2.3回受けていました。小学生から高校生まで、それぞれに合わせた内容で指導してもらえます。1回の指導は30分から1時間です。この形の指導をしているコーチがアメリカではたくさんいました!それだけ、子どもたちもコーチを選ぶことができるのは、すごく魅力的なことだと思いました。
・全員試合に出場
試合では全員が打順に入ることができます。多いときは12番くらいまでいました。逆に8人しかいないのに試合をしたこともありました!相手チームがよく認めてくれたなと思います。しかし、僕らのチームが勝ちましたが(笑)。子どもたちも凄かったです。守備は入れ替え自由なので、特に相手に伝えることなく、頻繁に変更していました。人数も多いので、2イニング続けてベンチにいることはないようにしていました。
・球数制限
明確にルールとしてあるわけではないですが、常識として一定の球数が来るとどのチームも投手を変えていました。これをやらないと指導者としては認められないというレベルでした。
・掛け持ち
チームとしては、街のチームとクラブチームの2種類あって野球が好きな子は両方掛け持ちしてプレーしていました。日程重なったときは家族や本人の判断でどちらに行くか決めます。
また、他のスポーツの掛け持ちをしている子もたくさんいました。アメリカでは、各スポーツメインのシーズンが別れており、その時期が来るとチームが結成されるようになります。いろんなスポーツを実際に経験して自分がやりたいものをチョイスできますし、色んなスポーツで色んな動きを経験することで、「なんでそんな動きできるの?」というびっくりなプレーも生まれるようになります。神経が発達するのでしょう。
・トーナメント
リーグ戦だけでなく、トーナメントも開催されます。これは球場が6面とかあるような場所があり、完全にビジネスとして野球を行っている企業が主催しているものです。遠征するので、リーグ戦と違い今まで当たったことのないチームと対戦することになります。土日の2日間のみで完結させるので、基本一日3試合やります。一発勝負の経験もできるのは子どもたちにとって刺激になると思います。あの施設の規模は野球人にはぜひ見てほしいです。こんな環境があるなら日本の野球は100年経ってもアメリカに追いつけないなと感じた瞬間でした。ここでの宿泊も子どもたちにとっては楽しみの時間になります。
・トライアウト
クラブチームでは選手のセレクションのためのトライアウトが行われます。チームのレベルにもよりますが、小学生年代ではそれほど厳しいものではないですが、年齢が上がるにつれてシビアになります。タウンのチームではセレクションはありません。
・ショウケース
高校生年代くらいになると、ショウケースと呼ばれるスカウトがたくさん集まって、MLBを目指すような有望な選手たちが自分たちの力を見せる場があります。寄せ集めの選手たちが合同で練習するのをスカウトたちが見る、というようなイメージです。大学のスカウトやMLBのスカウトも見に来ることがあるようです。
・軟式はない
アメリカには軟式野球が殆どありません。あってもかなりマイナーです。子供の頃からメジャーで使われる硬さのボール(大きさは違いますが)でプレーします。軟式と硬式では打ち方も変わりますので、ずっと硬式をプレーしている分扱いには慣れているという感じがしました。軟式がこんなに盛んなのは、日本だけのようです。
全体を通して
アメリカでの滞在を通して感じたのは、「野球を楽しむこと」「子ども第一」を大切にしているということです。レッスンも子どもが楽しんでこそ来てもらえる、試合もプレーしている人も見ている人も楽しめるものだから人が集まる。人生楽しむために生きているので、そこの軸がしっかりしているなと思いました。
そして、子どもはすごく大切にされています。公園はボールを思いきり蹴れるように、全面フェンスがでて道路にボールが出ないようになっています。通学は親が送っていくか、スクールバスが家の前まで来て事故に遭うことがないようにされています。インフラとかだけじゃなく、生きている人の精神的に日本はまだまだ先進国になれていないのだなと感じました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!もしよければ、この内容を拡散していただけたら嬉しいです。
こちらの内容はnoteに掲載しています。https://note.com/ymnjp/n/n6d195a4856ff